国指定の天然記念物「衝上断層」とは
私は四国の愛媛県伊予郡砥部町という場所に暮らしています。
以前より、この砥部町の地には「砥部断層」という珍しい断層があるというのは知っていました。
バスに乗っていても「次は砥部断層口行きです」とアナウンスが流れてきます。
砥部断層って何だろう…気になるなぁ。
私は気になることは自分の目で確かめたい性格なので、実際に行ってきたのでご紹介します。こんなマニアックな記事を読んでいる「あなた」!キーワード検索でこのページに来てしまったのなら、きっとあなたもマニアックな人でしょう。
砥部断層の場所
国道33号線から三坂峠へ続く道を途中、右折し旧広田村の方へ車を走らせると見えてくる学校給食センターの前に「砥部断層」はあります。
駐車場に到着。車は10数台くらいしか止めるスペースがありません。駐車台数は少ないですが、訪れる人は少なく平日は駐車スペースに困ることはないと思います。
「砥部断層」は砥部断層公園にあり、遊具は滑り台とブランコがあります。…というか、それしかありません。
そばに自動販売機が一台ありました。
思ったよりも静かな場所だなぁ。もっと人気(ひとけ)があるのかと思った…。
下の見えない吊り橋を渡って対岸へ
駐車場や遊具のある場所からは断層へと続く道、吊り橋を眺めることができますが結構な高低差です。
吊り橋は揺れるのかな?
徳島県三好市にある祖谷(いや)のかずら橋を連想し急ぎ足で向かいますo(^o^)o。かずら橋は、葛(かずら)類を編んで作られた原始的な吊り橋で、渡っていると結構揺れます(^^;。
「衝上(しょうじょう)断層➡️」
どうやら砥部断層とは衝上断層の通称のようですね。
この吊り橋は渡っているとわずかに揺れますが、祖谷のかずら橋と違って安定感がありスリルは感じられません。私は平衡感覚が鈍っているのか、立ち止まって飛んだりしないと揺れを実感できませんでした。
幅はざっと180~200㎝くらいです。祖谷のかずら橋のように渡っていても橋の下が見えないので子どもも怖がらずに渡れます。
子どもや高所恐怖症の人でも安心して渡れます。
橋の上から周囲を見渡すとたくさんの木々が立ち並んでいます。訪問時は冬のため木に緑や花が見られませんが、春には花が、秋には紅葉が見られるのでしょう。
そうして橋を渡り終え、そろそろ断層かなと思いましたが、また「衝上断層➡️」の案内板が…。
どこまで歩くんだろうね。
親水公園としての始まり。花見や水遊びのスポット
どうやらこの公園は平成3年に親水(しんすい)公園として整備されたようです。「衝上断層公園」と記された巨石には焼き物の町、砥部町らしく砥部焼きが使用されています。
暑い夏には、川辺に降りて水遊びすることができるので子ども達でにぎわうのでしょうか。
この河川一帯の約200メートルが「衝上断層公園」であり、のどかな雰囲気で豊かな自然の中に位置しています。
周りを見渡すと遊歩道や藤棚にトイレ、休憩所も整備されており、のんびりと過ごすには良い場所かもしれません。
春は花見、夏は川遊び、秋には紅葉と、四季に応じた見どころがありそうですね。
その正体は天然記念物
ほどなくすると今度は「衝上断層⬅️」と矢印とともに天然記念物「砥部衝上断層」の看板がありました。駐車場からここまで約200メートル程でしょうか。
この看板によると「衝上断層」は愛媛県の指定ではなく、国の天然記念物に指定されているようですね。少し期待度が高まります。
調べてみると天然記念物とは、史跡や名勝と同じ指定文化財の中の「記念物」に属し、天然記念物と言われているものはさらに「県指定」と「国指定」に分けられているそうです。
平成30年5月の時点で愛媛県下には県指定の天然記念物が77個、国指定の天然記念物は13個しかありません。(さらに、国指定の天然記念物の中には『国宝』と呼ばれるものと『特別天然記念物』と呼ばれるものがあり、愛媛県には2つしかありません)
引用:愛媛県教育委員会文化財保護課 「愛媛の文化財」より
ここから先は山道のような道を50メートル程歩くと目的の場所に着いたようです。
これが国指定の天然記念物と言われてもパッとしませんよね!?しかし、まぎれもなくこの風景の中に天然記念物があるのです。
右側に見える小さい池はかめ池と呼ばれているそうで天然記念物ではありません。
「衝上断層」とは上の画像の中心からやや左に映っている、グラデーションがかった断層のことを指すのです。
説明図があったので載せておきます。
断層が生じたことによって、6000万年前の古い岩石が、4000万年前の新しい岩石の上に重なっている「逆断層」というものが国指定の天然記念物の正体であり、「衝上断層」と呼ばれるものでした。
まとめ
こうして目の前にしてみると、私個人の主観では、「おぉー」と感激するようなものではありませんでしたが、地質学的に新しい地層の上に古い地層が乗っかることはとても珍しいことだそうです。
率直な感想として、夏場に子どもに川遊びをさせるには良い場所かもしれません。ただし、スロープはなく、ところどころ階段を昇り降りしないといけないため、妊婦さんや杖を使って歩かれる人には険しい道かもしれません。ベビーカーの使用も難しいでしょう。
砥部焼きの「陶街道五十三次」のスタンプラリーをしている人には、避けて通れない場所です(22番目のスタンプがある)。そうでない人にとってはあまりおもしろい場所ではないかもしれません。
「地質学に興味関心がある」「天然記念物を見てみたい」「屋外で独りになりたい」といった人や、子どもを外で遊ばせたい人には良い公園だと思いました。何はともあれ、気になっていた「砥部断層」の正体がわかって良かった!
コメント