「みんなちがってみんないい」仲間から贈られた尊重の言葉
先日、職場の同僚に渡したい物があると言われ、素敵な贈り物をいただきました。
その同僚とは12年以上の付き合いになります。
今の職場に就職した時、私は今と違って国家資格を有するわけでもなく、自分の理想だけを抱き初めての定職についたところでした。
反対に彼女は資格を持った専門職であり、職務経験豊かな、二人の幼子を女手ひとつで育てるシングルマザーでした。
年齢は同じでも、私の知らない経験や苦労を積んできたであろう彼女は、違う次元に立っているようでした。
仕事における理想と現実の違いや、複雑な人間関係、少数派の正しい行いよりも多数派の誤った行いが周知されるような状況に私は馴染めずにいましたが、そんな時、些細なことで彼女と口論となり、私は彼女に対して心に壁を作ってしまいました。
しかし、それでも彼女は「皆の前で代表で発表したって聞いたよ」と、言葉をかけてくれ、国家資格取得へ向けて取り組む私を応援してくれていました…。
・・・。
頑張ってるみたいやね。代表で発表したんだって?
それから年月が経ち、私も彼女と同じ立ち位置に立つことができました。時が流れ、彼女とも自然に言葉を交わすようになり、いつからか強固な信頼関係が生まれていました…。
職場は大きな組織であり、規模様々な部署が存在し上手く連携が図れていないことや、理不尽な上司の発言や横暴な態度に翻弄されることもあります。
私は性格上、間違ったことが嫌いで(許せない)、立場が上の人間にも噛みついてしまうことがあります…。
はやくしてくださいよ。いつまで待たせるんですか!
言われなくてもわかってるわよ。なによ、あの態度。
ときには、周りの人間から「暴走」と捉えられることもありますが、確かにアサーティブに意見を言えない私は未熟で幼稚だと評価されても仕方ありません。
長年の付き合いでそんな私のことを理解してくれている彼女は、私に対し、「みんなちがってみんないい」と、金子みすずの「わたしと小鳥と鈴と」の詩の一節を引用して諭してくれました。
詩:金子みすず
『わたしと小鳥と鈴と』
私が両手を広げても
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のように
地べたを早くは走れない
私が体をゆすっても
きれいな音は出ないけれど
あの鳴る鈴は私のように
たくさんな歌は知らないよ
鈴と小鳥と それから私
みんなちがって みんないい
引用元:http://www.worldfolksong.com/songbook/japan/doyo/watashi-kotori-suzu.html
「自身」と「鈴」と「小鳥」の個性を表現した詩ですが、最後の言葉が心に残ります。
「みんなちがってみんないい」
あまのじゃくな性格な私ですが、信頼している仲間から送られたこの言葉は素直に受け止めることができました。
そして、この一節を人に贈る時、それは相手を無条件に尊重した言葉だと思います。すごく「肯定してもらえた」という気持ちになりました。
実は、「金子みすず記念館」には一度行ったことがあります。
作者の金子みすずは山口県出身の詩人で、この一節は今から7年前の平成23年3月11日、東北地方太平洋沖地震の発生によってACのコマーシャルでヘビーローテーションでTVから流れてきていたので、聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。たくさんの詩を遺されていますが、苦労された人生のようで、26歳の時に自らの命を絶たれたそうです…。
「みんなちがって みんないい」
作者がどういう思いでこの詩を書かれたのか知ることはできませんが、自分を卑下していた私に仲間が送ってくれた最高の言葉。人は皆、十人十色でそれぞれがオンリーワンですよね!
組織の人間関係、個性も、「みんなちがってみんないい」。組織というカラーに染まらない私だからこそできる問題提起があるはず。多くの仲間に囲まれていなくてもいい、自暴自棄にならず前向きに生きて行こう!
そうそう、冒頭の贈り物とは…
実は、漫画のワンピースが好きというのは二人の共通点でしたが、「渡したいものがある」と言われた数日前に、「ワンピースで誰が一番好き?」と聞かれていたのです。私は「好きなキャラはたくさんいるけど、やっぱり、強くて、優しくて、男気のあるシャンクスかなぁ」と答えていたのです。
彼女がどんな思いでこのパズルを組み立てたのか、きっと私の喜ぶ姿を想像していたかもしれませんね。
ワンピース好きの返し方で彼女に言葉を贈るとすれば、ポートガス・D・エースの最後の言葉、「愛してくれてありがとう」しかありません…😁。
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